娘が小学1年生になったとき、正直、私は焦っていた。
「小学校低学年なんて、高得点が当たり前」
どこかで、そんなふうに思い込んでいた。
特に悩んだのは算数の文章問題。
明らかに足し算の問題なのに引き算にしていたり、
引き算の問題なのに足し算にしていたり。
「どうしてそう考えたの?」
と聞くと、
「上が足し算だったから、次は引き算かなーと思って♪」
「今、引き算習ってるから引き算かなーと思って♪」
そんな返事が返ってくる。
当時の私は、娘のことをしっかり者だと思っていたから、
「ある程度はできるはず」
と勝手に期待していた。
でも同時に、
「勉強嫌いにはなってほしくない」
とも思っていた。
楽しんで学べるようにと、
トイレに手作りポスターを貼ったり、
スタンプカードを作ってご褒美を用意したり、
塾に通わせてみたり。
今思えば、私は必死だった。
そんなある日。
宿題を一緒にやっていたときのこと。
一生懸命教える私と、
どんどん集中力が切れていく娘。
何度伝えても理解してもらえないもどかしさに、
私はつい口調を強くしてしまった。
すると娘が泣きながら言った。
「私だって一生懸命やってるのに、なんでママは怒るの?わかんないんだもん」
その瞬間、何かがプツンと切れた。
——ああ、私、何をやっているんだろう。
勉強嫌いにさせたくないと思っていたのに、
私自身が、まさにその方向へ娘を追い込んでいた。
勉強はできるに越したことはない。
でも、それより大切なものがあるはずだった。
友達と楽しく遊ぶこと。
元気に過ごすこと。
たくさん笑うこと。
いろいろな経験をすること。
それで十分だと思っていたはずなのに、
いつの間にか私は欲張りになっていた。
娘に言った。
「ごめんね。
ママ、点数が悪いことが嫌だったんじゃないの。
勉強を楽しんでほしかったし、頑張ってほしいって思ってただけ。
でも、もう十分頑張ってたよね。
ママが間違ってた」
そう言って抱きしめた。
娘は涙を拭きながら、
「いいよ」
と言ってくれた。
それから私は、
トイレのポスターも、
スタンプカードも、
塾もやめた。
どんな点数でも、
「ここできたね」
「見直ししたんだね」
「よく考えたね」
できているところを見つけて褒めるようにした。
そして思うようになった。
生きていく上で本当に大切なのは、
お金を稼ぐ力。
貯める力。
使う力。
増やす力。
守る力。
最低限の計算ができれば、きっと大丈夫。
「ま、いっか」
そう思えるようになった。
そんなふうに思えるようになった少し後のこと。
小学2年生になり、ギャルに憧れている娘が、ある映画に出会った。
『ビリギャル』だ。
学年ビリのギャルが、1年で偏差値を上げて難関大学に合格した実話をもとにした映画。
ハマると何度も繰り返し観る娘は、この映画も夢中になって観ていた。
するとある日、突然こう言った。
「私も“じゅけん”しようかな♪」
そう言ってドリルを始めたのだ。笑
受験の意味もよく分かっていないのに。
あんなに頑張って勉強させようとしていたときには動かなかったのに、
映画ひとつでスイッチが入るなんて。
本当に、何がきっかけになるか分からない。
だからこそ、子育ては面白い。
ドリルは長くは続かなかったけれど、それでいいと思っている。
物事の捉え方を、
自分で感じ、
自分で考え、
自分で学んでいくこと。
それが何より大切なんじゃないかと思う。
人と出会い、
良いことも悪いことも経験して、
挑戦して、
失敗して、
また立ち上がる。
挫折も成功も、すべて自分の力に変えていけたら、それでいい。
まだ私も人生の途中。
今日もまた、学びの中にいる。
今日も心が、少しまるくなりますように。
またここまるで🌿


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